映画「パラサイト 半地下の家族」はアカデミー賞4部門とパルム・ドールを受賞した2019年の作品です。非英語圏初のアカデミー賞受賞ということで、日本でも話題となり2021年1月8日には金曜ロードショーで初放映されました。
今回は「パラサイト 半地下の家族」のあらすじと伏線をネタバレありで解説していきます。
映画「パラサイト 半地下の家族」あらすじ
過去に度々事業に失敗、計画性も仕事もないが楽天的な父キム・ギテク。そんな甲斐性なしの夫に強くあたる母チュンスク。大学受験に落ち続け、若さも能力も持て余している息子ギウ。美大を目指すが上手くいかず、予備校に通うお金もない娘ギジョン… しがない内職で日々を繋ぐ彼らは、“ 半地下住宅”で 暮らす貧しい4人家族だ。
“半地下”の家は、暮らしにくい。窓を開ければ、路上で散布される消毒剤が入ってくる。電波が悪い。Wi-Fiも弱い。水圧が低いからトイレが家の一番高い位置に鎮座している。家族全員、ただただ“普通の暮らし”がしたい。「僕の代わりに家庭教師をしないか?」受験経験は豊富だが学歴のないギウは、ある時、エリート大学生の友人から留学中の代打を頼まれる。“受験のプロ”のギウが向かった先は、IT企業の社長パク・ドンイク一家が暮らす高台の大豪邸だった——。
パク一家の心を掴んだギウは、続いて妹のギジョンを家庭教師として紹介する。更に、妹のギジョンはある仕掛けをしていき…“半地下住宅”で暮らすキム一家と、“ 高台の豪邸”で暮らすパク一家。この相反する2つの家族が交差した先に、想像を遥かに超える衝撃の光景が広がっていく——。
http://www.parasite-mv.jp/story.html
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映画「パラサイト 半地下の家族」を理解するために知っておきたいこと
「半地下」とは?
韓国の独特の住居である半地下ができた背景は諸説ありますが、最も有名なのは、1968年に発生した北朝鮮のゲリラ軍による韓国大統領を襲撃しようとした「青瓦台襲撃未遂事件」。これにより北朝鮮との戦争が懸念され、それに備えて作られた防空壕という説です。
当初は賃貸としての利用は禁止されていましたが、1980年代の住居不足により半地下の住宅としての使用が合法化されました。東京よりも家賃が高いというソウルのなかで、半地下は破格の値段。
しかしその反面、窓から家内が丸見えでプライベートがなかったり、通気は悪くカビまみれ、まともに立つことができないところもあるほど天井が低いなど、環境は劣悪です。
しかし若者の中には、あえてその制限を楽しんで暮らしを豊かにしているという人も。ものは考えようですね。
韓国の格差社会
「パラサイト 半地下の家族」は、韓国の格差社会がテーマとなっています。韓国は強すぎる財閥構造により、財閥の大企業か公務員という狭き門を競い合う激しい競争社会です。若者の5人に1人が失業者という失業率の高さにより、2010年以降には若者世代を恋愛・結婚・出産を諦める「3放世代」と呼ばれるようになります。
さらに2015年には、上記の7つのものを手放さなければならない「7放世代」へと進化。現在ではすべてを諦める「N放世代」と呼ばれるように。このように韓国では格差社会が深刻化しています。
韓国の家族のあり方
「パラサイト 半地下の家族」で、キム一家の長男ギウが父親であるギテクに対し終始敬語だったことに印象を抱いた方も多いのではないでしょうか。韓国では、儒教文化が浸透しているため年上への敬意や上下関係がはっきりとしています。そのため韓国人の方から見れば、日本のように友達のような親子はありえない感覚なんだとか。
上下関係がはっきりしている一方、家族のつながりはとても重要視されています。結婚後や独立しても親の前では子どものようになってしまったり、親も子どもが成人してもいつまでも子どものようにいちいち口出しをしたりします。
映画「パラサイト 半地下の家族」でも、階級は違えどどの家族もお互いに愛情を向けている様子が描かれています。
映画「パラサイト 半地下の家族」の伏線を考察
映画「パラサイト 半地下の家族」の伏線を考察していきます。
ダソンはキム一家に気づいていた?
パク社長の長男であるやんちゃなダソン。彼は唯一、素性を隠してパク家に雇われているキム一家たちのことを「同じ匂い」がすることに気づいていました。またインディアンの矢を部外者であるギウに向かって撃つなど、その行動にはキム一家のことを潜在的に「違う」と見抜いていたような描写があります。
ダソンの書いた絵
さらにダソンが書いたという絵にも注目。壁にかけられた絵は「自画像」と言われていますが、実際は地下室に住んでいるグンセ。ダソンは過去に食べ物を求め地上にやってきたグンセの姿を見ており「それ以来「幽霊がいる」と言ってトラウマになっています。
さらに絵に書かれたグンセの背後にはテントや緑、晴天が広がっており、「惨劇が起きたときの状況」ト合致しています。
「一線を越える」においの伏線
パク社長は、「他人と一線を越えない」ことをモットーとしており、運転手であるギテクにもそれを何度も述べています。しかしパク社長は妻に「あのにおいだけは度を越している」と述べており、それはこっそり隠れていたギテクの耳にも届いてしまいます。
そしてクライマックスで、パク社長はグンセのにおいに顔をしかめギテクに刺殺されてしまいます。互いに一線を越えないように接してはいても、においは自分ではコントロールできないものだったのです。
モールス信号の伏線
地下にいるグンセは、パク社長のことをリスペクトしており、彼が帰ってくると照明をつけてあげています。そんな彼は頭でモールス信号をうって、外部に向かってSOSを発信しています。
それを唯一見たのはダソンですが、彼は「H-O-L-F」と正しく訳すことができずにいます。地下室にはモールス信号の符号表があり、グンセが間違えたとは考えづらいので、ダソンが読み取れなかったと考えて良いでしょう。これは貧困層が送る必死のSOSも、上流階級にとっては、遊びの一種としてしか捉えられていないということが暗示されています。
また最後の重要なメッセージにもモールス信号は使われており、見事な伏線となっています。地下に潜り込んだギテクが送るメッセージは同じ層にいるギウには届きます。
「よく食べる家政婦」の真実
パク家に長年仕える家政婦ムングァンは、優秀でパク一家に認められた存在です。パク夫人は「唯一欠点をあげるとしたら二人分はある量の料理を平らげてしまうこと」と述べています。
しかし真実は、ムングァンが地下にいるグンセに食べ物を分け与えていたから二人分の料理が必要だったと考えられます。彼女は1人で食べているように見せかけ、こっそり地下の夫に食べ物を分け与えていたのです。
「幸運をもたらす石」がもたらす悲劇
作品の冒頭でギウはエリート大学生のミニョクから、「富・学術向上をもたらす石」として山水景石を譲り受けます。ギウはこれを家の前で通行人を追い払うときや大雨で自宅が水没したときなど、勇気を出したり重要な局面だったりで持ち出しています。
そしてクライマックスに向かうパク家の地下階段を下るときにもあの石を抱えています。皮肉なことにこの石によってグンセの反撃にあい、惨劇へとつながってしまいました。
まとめ
映画「パラサイト 半地下の家族」のあらすじと伏線をネタバレ解説しました。
今回解説した部分以外にも多くのメタファーが隠されています。すでに映画を見た方も再度鑑賞して探してみてください!
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本ページの情報は2021年4月時点のものです。
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