映画『おおかみこどもの雨と雪』は親子愛を描いた作品です。主人公花が子どもを生んで母親として成長していく姿はもちろん、半分人間・半分狼である花の息子の雨と娘の雪がどのように生活していくのかが描かれていました。特に最後はふたりとも、「人間として生きるのか」「狼として生きるのか」という究極の選択を選ぶこととなりました。今回は、その選択を含めた二人のその後について考察します。
『おおかみこどもの雨と雪』のその後は原作や漫画でも描かれていない
映画『おおかみこどもの雨と雪』では、二人のその後ははっきりと描かれていませんでした。同様に原作である小説や漫画にも、二人のその後は描かれていません。そのため、その後は読者に委ねられている形です。
そのなかでも、物語から推察されるその後について考察してみました。
『おおかみこどもの雨と雪』の雪のその後は?
『おおかみこどもの雨と雪』の姉である雪は、明るく元気いっぱいの女の子。狼としての運動能力をぞんぶんに活かし幼少期は元気に外を駆け巡っていました。人間の社会的集団である小学校に入学してからも、明るい性格を活かし、友達をたくさん作っていました。
そういった生活を送る上で、徐々に狼よりも人間として生活したいと思うようになります。そんな花は物語のその後、実家から離れた中学校へ通うことになります。
親元から離れながらも、花とは手紙のやり取りをしています。そしてちゃっかり転校生の藤井草平も写真に写っていることからも、二人の関係が続いていることが伺えます。(二人の関係が友人から一歩進んだのか気になるところですが、我々の妄想にとどめておきましょう)
おそらく雪は今後も、定期的に実家(花の元)へと帰っていることが想像できます。しっかりと独り立ちしながらも、人間社会で生きているのでしょう。
『おおかみこどもの雨と雪』の雨のその後は?
『おおかみこどもの雨と雪』の弟である雨は、姉とちがい、内気で引きこもりがち。さらに入学した小学校では、クラスに馴染めず不登校になってしまいます。そして同時に山に興味を持ち、やがて狼として生きることを決意します。
山の主であるリーダーを引き継ぐ決意をした彼がとった行動は、山の上での遠吠え。狼の遠吠えには、3つの意味があります。
1つめは自分たちのなわばりを知らせるため。2つめは群れからはぐれた仲間を探す為、そして3つめは仲間との絆を深めるためだ。そのすべてが社会的な目的である。
https://www.excite.co.jp/news/article/Karapaia_52215377/
話の流れからは、山の縄張りが雨のものになったということを知らしめる行動だったと考えられます。そしてそれは花に対して、「自分はここで生きていくんだ」という決意表明にもなっています。
雨と雪はもう会うことはないのか?
雨の「狼として生きていく」という決意から考察できるのは、今後雨は、花や雪と会うことはないだろうということです。
雪は人間社会で生きていくことを決意し、親元から離れた寮で生活をしますが、おそらく多くの人達と同じように定期的に「里帰り」していると予想できます。
一方雨は、狼として生きることを決意しました。狼は群れを作って生活しますが基本的には異性同士のペアを中心とした家族で暮らすことがほとんどです。しかし雨の家族である花と雪は人間として生きています。そのため今後雨は自分のパートナーを見つけ、群れを作って生きていくのでしょう。
それを察したからこそ、花は雨に向けて「強く生きて」「元気でいて」と呼びかけたのではないでしょうか。
『おおかみこどもの雨と雪』の雨は細田守監督自身?
映画『おおかみこどもの雨と雪』の雨は細田守監督自身ではないかという意見が少なからずあります。
ジブリのプロデューサー鈴木敏夫は、「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」にて次のように述べています。
「サマーウォーズ完成の後に監督が母を失くしていること、細田が孝行息子ではなかったことから考えても、この作品がなくした母への贖罪の意味があったのだろう」
「幼少期にさんざん手をかけさせておいて、成長したら親孝行もなしで、山に入っていってしまった『雨』は細田本人がモデルに違いない」
https://www.tfm.co.jp/asemamire/index.php?itemid=56838&catid=168
また『おおかみこどもの雨と雪』のプロデューサーである渡邊隆史も、次のように述べています。
「おおかみ」を選んだ雨の選択は、とてもリスクが高いけど、それでもやっぱりあの山の中に消えていった雨というのは、富山から単身アニメーションの世界に行った細田監督自身と重なると思います。
https://ascii.jp/elem/000/000/771/771921/2/
雨の最後に立たされた選択は、細田守監督自身の人生における選択でもあったのではないかと感じられます。
- リスクがとてつもなく高いが、本当に自分がやりたいこと
- 安全だが、自分が本当にやりたいことではない
そうしてさらに、母である花が雪そっちのけで雨に手を焼かせてしまった。そうしながらも最後は独り立ちしていく。自然の中で生きていく厳しさと、アニメーターとして成功する難しさを重ね合わせてしまいますね。
しかしそう考えると、アニメーターとして厳しい世界を生き抜いている細田守監督と同じように、雨も厳しい自然を生き抜いているのでは、なんて考えられますね。
まとめ『おおかみこどもの雨と雪』は生き方を教えてくれる映画
映画『おおかみこどもの雨と雪』の雨と雪のその後を考察しました。二人のその後は、映画はもちろん原作小説や漫画でも描かれておらず、視聴者に完全に委ねられています。しかしだからこそ、二人の生き方やその後どうなっているのか、いろいろな想像ができますね。
皆さんは二人のその後について、どう考えますか?色々考えると面白いですね。
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